痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人

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■Q&A


質問:交通事故の後、首の後ろや頭の痛みがとれません。どうしたらよいでしょうか。

回答:
交通事故の後、「外傷性頚部症候群」や「むち打ち症」として首の後ろの痛みや頭痛が残ることがありますが、その病態としては非常に複雑なものと考えられています。
近年、これらの病態を「外傷性脳脊髄液減少症」と結びつけて考える動きがあるようですが、その因果関係については結論が出ておらず、現在も研究が行われているようです。
尚「脳脊髄液減少症」については、H22年度より、厚生労働省研究として行われておりますのでこちらをご参考ください。
上記研究をみていきますと、現在のところ「脳脊髄液減少症」を診断することは困難であるものの、その状態を表すであろう「脳脊髄液漏出症」または「低髄液圧症」について検討がなされており、それぞれの基準作りが行われているようです。

また、これらの病態には心理社会的要因が関与しているという報告もみられます。
1991年に日本で発生した、交通事故関連の「むち打ち症」1000例(有効分析例784例)について調査した研究によりますと、平均治癒期間は73.5日であり、事故後3か月時における治癒率は70%であったと報告されています。また6か月以上の治療期間を要した症例は、通院例が全体の7.7%でに対し、入院例は31.5%であり、入院そのものが治癒期間に影響をしているのではないかとも考えられています。(竹内,MB Orthop.12(1):1999)
一方で、追突事故の被害者に対して事故補償制度自体がないギリシャでは、事故の後、頚部痛や頭痛、めまいなどの症状は生じるもの、患者の90%以上は4週間以内に症状が改善し、6か月後に障害を訴えるケースはなかったと報告されています。(Partheni M, Clin Exp Rheumatol. 2000)
以上のような報告から、治療の扱われ方により、症状改善が左右される可能性がありそうです。

推奨されている治療法
@ 急性むち打ち症に対して最も有効性が期待される治療は以下の2つである。
○ 頚椎の運動を通常通り行って良いことを説明し、過度の安静をしないように教育し実践させること。
○ 関節可動域の拡大を目的とした運動や筋活動に着目した運動など規定の機能的な運動療法が有用である。

A 頚部の固定具の装着は、むち打ち症からの回復を遅らせる可能性がある。

B 慢性むち打ち症に対する有効性が最も期待できる治療は以下の4つである。
○ 頚椎の運動を通常通り行って良いことを説明し、過度の安静をしないように教育し実践させること。
○ 関節可動域の拡大を目的とした運動や筋活動に着目した運動など規定の機能的な運動療法が有用である。
○ 心理療法をリハビリテーションと組み合わせて実践することが有用である。
○ 一部の症例に対しては、ラジオ波神経焼灼術が有効なことがある。
(引用:「運動器痛のファクトシート」IASP編, 日本運動器疼痛学会誌 別冊:2010)